アンテラの魔術通信

貴石に秘められた魔術パワー

貴石

皆様もご存知のように、当サイトの通信販売では特定のパワーストーンやジュエルをはめ込んだ魔導具グッズを取り揃えています。しかし、これらは単に装飾を目的として使われているわけではありません。洋の東西を問わず古来、人類は稀少石を使って魔除けや幸運の守りなどを作り上げてきました。とくに西洋魔術の世界では、純度の高い結晶体からなる貴石には人間の念を著しく増幅、あるいは反対に相殺させるパワーがあるとされており、ACワールドで取り扱うアイテムもまたその効果を狙って企画されたものです。

意識、念とはつまるところ波動であり、ある種のエネルギーに還元されるものなのですが、堅牢な結晶体の分子構造はそのエネルギーを蓄積・保存する性質を有しています。さらに溜め込まれたエネルギーは適宜、外部へ放出され、再び充填されるということを繰り返すのです。適切に手順を踏まえて貴石に願うことで様々な願望が叶うのは、こうした神秘のメカニズムに拠るものです。以下、魔術に関わる貴石のエピソードをいくつかご紹介してまいりましょう。

自己発光する石~トルマリン

パワーストーンに数えられるもののひとつに、トルマリンという石があるのですが、このトルマリンは別名「電気石」あるいは「蛍石」とも呼ばれ、暗い場所で青白く発光することが知られています。昔の人々はごく単純にトルマリンが日の光を吸収して夜間に光ると考えていたのですが、正確には太陽光内の紫外線が結晶構造中の電子運動を励起し、そのエネルギーが放出される際に発光する現象とされています。ここでの紫外線の働きを人間の発する念波に置き換えると、上述のメカニズムをより分かりやすく把握できるのではないでしょうか。念波動もまた結晶構造中の電子運動に影響を与え、エネルギーの蓄積と放出を繰り返します。

呪いの宝石~ホープダイヤモンド

俗に言う「呪いの宝石」にまつわる怪奇伝説もまた同じメカニズムに拠る現象で、その代表的なものに「ホープダイヤモンド」と呼ばれる石があります。この巨大なブルーダイヤは紀元9世紀にインドのデカン高原にある河川で発見されて以来、幾多の王侯貴族たちの手を渡り歩き、現在はスミソニアン博物館内の自然史博物館に所蔵されているのですが、その間、歴代の所有者達に様々な災厄をもたらしてきました。もっとも有名な実例としては、末期のフランス王家がこの石を購入したところ、王政を崩壊させたフランス革命が勃発したことが挙げられます。当時の所有者であったルイ16世とマリー・アントワネット妃の悲惨な最期については、いまさら語るべくもありません。

元々、ホープダイヤモンドは2対の石から成り、さるヒンドゥー教寺院内で祀られていた女神像の目にはめ込まれていました。17世紀後半になり、目の片方をインド人の盗賊団が盗み、さらにそれをフランス人宝石商に売りつけたところから呪いの連鎖が始まったのです。盗難に気づいた僧侶が泥棒にカーリーの呪いをかけたのが起点となり、それによって不幸に陥った持ち主たちの負の念が、さらに石の内部に篭もって増幅されるという悪循環が繰り広げられました。すなわち良いエネルギーを吸収し続ければ幸運の石となり、逆であれば悪を呼び込む呪いの依代とも成り得る~そうした極端な両義性こそが、魔術における貴石の本領なのです。ですから、プロの魔術師や魔女は決して貴石をおろそかには扱いません。

神の真理を刻む石~エメラルドタブレット

エメラルドタブレットとは、文字通り巨大なエメラルド結晶で形成された神秘の石版のこと。エメラルドの板面には、古代アトランティス文明を創始したトート神(錬金術の神、ヘルメス・トリスメギストスと同一)によって、太古の宇宙文明の叡智が刻み記されているとされており、歴史上、多くのオカルティストたちがその存在を追い求め続けました。

エジプト遠征の最中にあったアレキサンダー大王も、偶然そのうちの1枚を手中に収めたとも伝えられますが真偽の程は不明です。また近世以降も、19世紀の高名なフランス人魔術師、エリファス・レビィ、あるいは米国人のムリエル・ドリールなどがそのうちの何枚かを手に入れたと発表したものの、これらについても具体的な事実証明は一切なされていません。ヒマラヤ山中の地下にあるシャンバラ(世界王サナートクマラの宮殿)やギザの大ピラミッドの内部には、現在もなお幾枚かのエメラルドタブレットが秘匿されているそうです。

西洋オカルティズムの定説では、エメラルドタブレット自体はすでに失われているが、石版に書かれた内容はヘルメス文書として後世に残り、魔術、錬金術、占星術などの諸理論の基盤となったとされています。しかしその一方で、板面には具体的な文字の類は一切刻まれていないという異端の説を唱える者もいます。彼らに拠れば、石版自体が一種の記憶装置になっており、念を自己制御できるサイキッカーのみがその膨大無辺のデータベースにアクセスできるとのこと。今まで述べてきたような貴石の特殊性質を考えれば、この説もあながち荒唐無稽とは言えないような気がします。

かのアンテラ・サチェロ師も、「エメラルドタブレットは実在する。超感覚が減衰した現世の人間がそこに秘された叡智の力を引き出すことは困難を極めるが、もしも全てが読み解かれれば、人類文明は再び神の領域にまで達するであろう」と明言しています。

以上、魔導具としての貴石について、歴史的エピソードを主体にお伝えいたしました。 魔術初心者がこうした力を用いる場合、まずは扱いやすい水晶類から手にするのが妥当です。クリスタル魔術の詳細については入門書の類もいくつか刊行されているようなので、それらをご参照いただければと思います。もちろんリクエストがあれば今後、当コーナーにおいても随時取り上げさせていただきます。

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