アンテラの魔術通信

魔術とスピリチュアルの違い

魔術とスピリチュアルの違い

「パワースポット」や「オーラ」といった言葉がテレビで取りざたされ、一般的なものとなった昨今、スピリチュアルは現代人にとって非常に身近な存在となりました。そしてスピリチュアルはその神秘的・超常的な観念から、しばしば魔術と混同されがちです。しかし、スピリチュアルと魔術は厳密には全く異なります。もちろん、概念として近しい部分は多分にあり、またスピリチュアルの一部は近代西洋魔術をベースとしたものですので、「違うもの」と言うことはできませんが、「異なるもの」として区別する必要はあります。

まず、スピリチュアルとは、霊的な行為やそれによって益を得ることそのものが目的ではなく、それを通して自己の修練や充実を計る目的のものです。本来のスピリチュアルとはいわば「思想」なのです。しかし、それらが一般人にも分かりやすく噛み砕かれ、一部のみが取り沙汰された結果、「パワースポット」や「オーラ」といった、いかにも魔術的な要素となっているのです。

本来のパワースポットは「霊場」と呼ばれる修験者や祈祷師の修業の場であり、その場所で修業を行うことでより高い経験を積むことができる場所を指します。また「オーラ」というのはその生体の放つ霊的エネルギーを指します。これはどちらも精神世界の要素が極めて強いものです。

スピリチュアルは「ニューエイジ」という思想運動から生まれた観念です。そしてニューエイジとは、高次元の霊的存在と精神的交信を計ることで人間が自己実現を計ることを主目的とします。そして、ニューエイジは西洋文化圏で隆盛した思想でありながら、主に中国の陰陽思想やインドのヨーガ、ネイティブアメリカンの精霊信仰などをベースにしており、雰囲気こそ西洋文化圏のものでありながらも、観念の文脈的には東洋の色が極めて強いものです。

一方、魔術には精神世界の要素はそれほど強くありません。そこに観念的な要素は少なく、ただ道具や技術を用いて、超常的存在や人知を越えた力を操り、人に利益をもたらしたり、不幸を呼んだりする「術」です。魔術は元々、古代ヨーロッパのキリスト教文化圏外にあった数々の原始信仰をベースとしています。魔術師がしばしば力を借り受ける「悪魔」も、キリスト教の伝来によって邪悪な存在に貶められたというだけで、本来の姿は、善悪の概念に縛られない、原始の神々や精霊たちです。そして魔術はそういった存在の力や叡智を借り受け、力を使役し、恋愛の成就や戦いでの勝利、金銭的充実などを計るための術なのです。もちろん、魔術も突き詰めていけば思想的な要素が多分にありますが、それでも魔術は思想ではありません。あくまで人間の現実的な利益を叶えるための術です。

こう述べると、スピリチュアルは高尚、魔術は低俗なものであるかのように聴こえるかもしれませんが、両者に序列はなく、「ふたつは別物」という話でしかありません。スピリチュアルは思想が先立つものであり、魔術は現実の状況に変化をもたらす実践的な術である、ということです。

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